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心臓CTの動向
2021年に複数の心臓関連専門機関(ACC、AHA、SCCT)が発表した胸痛診療ガイドライン[1]では、リスクレベルを問わず、冠動脈疾患(CAD—ここでは石灰化プラークが少なくとも存在する状態と定義)の既往がない安定した胸痛患者の評価において、CT画像診断が最前線に位置づけられています。冠動脈CT血管造影(CCTA)は、臨床的有効性を示すエビデンスが最も高いクラス1の推奨として、冠動脈石灰化スコア(CACS)は有用性に関する中等度の推奨であるクラス2aとして、ガイドラインに位置づけられました。ICAを臨床的に紹介された安定した胸痛患者の治療方針決定に向けた初期診断画像検査として、CTと侵襲的冠動脈造影(ICA)を比較した、3,500人超を対象とする最近の多施設DISCHARGE試験では、初期にCTを用いた場合、主要な手技関連合併症の発生率が低いことが示されました[2]。
さらに、欧州心臓病学会(ESC)の最新ガイドライン[3]では、CADの有無と範囲を評価する第一選択検査としてCCTAが推奨されています。また、新たに拡張型心筋症と診断された患者において、重大なCADを除外するうえでCCTAが非常に有用な検査であることも示されています。さらに、駆出率の低下が新たに認められた患者では、CADの有無と範囲を確認し、心筋血行再建術の臨床的適応を評価するため、ICAに代わる検査としてCCTAが提案されています。また、CACSは心血管イベントの早期発見と予防に確立された方法であり、予防療法を開始する際の意思決定支援ツールとして、また有症状・無症状の患者において心血管リスクを除外するための負のリスク因子として用いられています[4]。改訂版CAD-RADS 2.0ガイドライン[5]では、プラークが認められる場合は常にその負荷を推定すべきとされています。これは、石灰化量(すなわちCACS)、セグメント病変スコア(SIS)、または視覚的評価を用いて、総プラーク負荷をP1~P4(軽度、中等度、高度、広範囲)に分類することで実施できます。
診断および疾患層別化に関する臨床ガイドラインで心臓CTの重要性が高まっており、CCTAの利用が10年間で最大355%増加していることから[6]、患者を効率的に管理するうえで、関連する病態生理を示すCT画像バイオマーカーを正確に定量することが極めて重要です。CCTAにおけるCTの利用と並行して、経カテーテル弁治療および構造的心疾患への介入分野は、この10年間で急速に発展・成熟し、心臓病学において急成長する領域となっています。弁膜症および非弁膜症性心疾患に対応するデバイスの数が増え続けるなか、この傾向は特に顕著です。そのためCT画像診断は、疾患評価や患者選定から、デバイスの選択・サイズ決定、手技リスクの予測に至るまで、構造的心疾患の治療の多くの側面で重要な役割を担っています。
NAEOTOM Alpha®による心臓画像診断は、心臓CTにおける大きなパラダイムシフトをもたらします。Siemens Healthineersが開発した画期的な技術革新により、臨床医が疾患を分類・定量する能力を、比類のない水準で支援します*。本ホワイトペーパーでは、NAEOTOM Alphaの導入によって実現した心臓画像診断の向上について示します。
CTは、心血管疾患の診断、構造的心臓介入の術前計画、およびデバイス植込みを支援するうえで、ますます重要なツールとなっています。
心臓CT向けNAEOTOM Alphaの技術的進歩
心外膜冠動脈の数ミリメートルの径や心臓の構造を正確に画像化することは、CT画像診断における大きな課題でした。心臓の動きが速く、患者の呼吸によって画像がぼやけることがあるためです。そのため心臓画像診断では、血管を適切に可視化するために、優れた時間分解能と空間分解能の両方が求められます。Siemens HealthineersのデュアルソースCT(DSCT)スキャン技術により、ルーチン検査の時間分解能は100 ms未満に向上しました。サブミリメートルのコリメーションを用いた新しい検出器設計により、z軸方向の空間分解能も向上しています。Vectron®などの高性能X線管の先駆的な開発によって、あらゆるサイズの患者、特に肥満患者において、すべてのkVレベルで画質を維持するのに十分な光子束を確保できるようになりました。
NAEOTOM Alphaの発売と、全身撮影に対応した日常診療用デュアルソースCTスキャナーへのフォトンカウンティングCT技術の導入により、従来のCT画像診断を大きく上回る飛躍的な進歩が実現しました。小さな検出器素子による超高空間分解能、低エネルギー光子と高エネルギー光子を等しく重み付けすることによるコントラスト対ノイズ比(CNR)の改善、電気パルスの閾値処理による電子ノイズの除去、そして本質的なスペクトル感度が主な利点です。さらに、実績あるハイエンドのデュアルソースCTアーキテクチャを基盤に、NAEOTOM Alphaは超高分解能、スペクトル機能、最大66 ms*の業界最高水準の時間分解能を、妥協することなく独自に融合しています。これにより多くの場合、心拍数を抑えるためのベータ遮断薬を使用せずに心臓CTを撮影できます。これらの利点などは、NAEOTOM Alpha—CTの再定義ホワイトペーパー[7]で紹介・要約されており、図1に簡潔に示しています。
心臓の撮影では、こうした技術的利点により、石灰化ブルーミングの低減、ステント内の評価、小動脈の可視化、詳細なプラーク画像、人工弁/ステントグラフトの詳細な画像化など、臨床画像の改善がもたらされます。
図1. QuantaMax検出器を使用する利点。検出器画素の小型化、電子ノイズの除去、高・低エネルギー光子の等しいエネルギー重み付け、スペクトル感度という4つの技術的利点を示しています。
図 2: Quantum PURE Lumen
およびQuantum PURE Calciumアルゴリズムのワークフローと、最終データセットの生成における
スペクトルデータの活用方法。
* 社内保有データ
** PURE Lumen(血管石灰化除去[VCR])は、画像から石灰化の影響を取り除くことで、血管(冠動脈など)の狭窄を測定するために使用できます。ファントム評価に基づく(Allmendinger T. et al., Invest Radiol. 2022;57(6):399-405)