Lili Száraz, MD*; Zsolt Szedlacsek, MD**; Jenő Ferenc Szolnoky, MD, PhD**; Prof. Pál Maurovich-Horvat, MD, PhD, MPH*
* ハンガリー、ブダペスト、センメルワイス大学 医用画像センター** ハンガリー、ブダペスト、ゴットセゲン国立心臓血管センター
2025年5月14日
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病歴
労作時の息切れを訴える47歳の女性患者が、検査のため来院した。身体診察では、心尖部および左胸骨傍領域に駆出性雑音を認めた。安静時の心電図では、I、aVL、V5、V6誘導に著明なST低下と陰性T波(ストレイン型)を認めた。運動負荷試験を実施したが、複数の誘導で顕著な水平型ST低下が認められたため中止した。実施した心エコー検査では、左心室の軽度拡大と、中等度の駆出率(EF、44%)および収縮機能が認められた。冠動脈評価のため、フォトンカウンティングCTであるNAEOTOM Alphaを用いて心臓CT血管造影(CCTA)を実施した。
診断
CCTA画像では、左主冠動脈(LM)が主肺動脈(MPA)の後方、肺動脈弁の上方から起始する異常起始を認めた。LMは拡張し、左前下行枝(LAD)と回旋枝(Cx)に分岐していた。両枝も拡張していた。近位CxとMPAの間に交通を認めた。拡張・蛇行した右冠動脈(RCA)は正常起始で、優位血管であった。近位RCAから分岐する拡大した中隔枝(DSA)が描出された。LADと後下行枝(PDA)は末梢で交通していた。後側壁枝(PLB)とCxの間には側副血行路が明らかに認められた。左心室(LV)は軽度拡大していた。心臓以外の所見はなく、冠動脈の動脈硬化や内腔狭窄の所見も認めなかった。Bland-White-Garland症候群と診断した。
その後、患者は外部医療機関で外科的修復術を受け、心臓外科チームがLMを再建し、LMとMPAの間、および近位CxとMPAの間の交通を閉鎖した。エネルギー積分型検出器(EID)CTスキャナーによる術後画像では、重度の狭窄のない健常な冠動脈口が確認された。患者はリハビリテーションに移行し、現在は完全に回復している。
図1:cVRT画像(図1a)および斜位MPR画像(図1b)では、LCAがMPAの後方から起始する異常起始を認める(矢印)。近位CxとMPAの間の交通(図1a、点線矢印)も認められる。LVは軽度拡大している。
図2:cVRT画像では、拡張・蛇行したRCAとその分枝を認める。LADとPDAは末梢で交通している(図2a、矢印)。PLBとCxの間の側副血行路(図2b、矢印)も認められる。
図3:cVRT画像では、近位RCAから分岐する拡大したDSAを認める(矢印)。左右の冠動脈はいずれも拡張・蛇行している。
図4:cVRT画像では、重度の狭窄のない健常な冠動脈口を伴う再建後のLMを認める(矢印)。
解説
Bland-White-Garland症候群は、肺動脈起始異常左冠動脈(ALCAPA)とも呼ばれ、最も重篤な先天性冠動脈異常の一つである。未治療の場合、乳児の約90%が生後1年以内に死亡する。成人での発症はまれで、慢性心筋虚血、不整脈、心不全、さらには突然心停止などの症状を呈する。根治治療は外科的修復である。CT画像検査は非侵襲的で、異常起始、冠動脈の走行、側副血行路を直接描出できるため、治療計画に重要な情報をもたらす。
本症例の撮影には、デュアルソース・フォトンカウンティング検出器(PCD)CTであるNAEOTOM Alphaを使用した。高い空間分解能と時間分解能を兼ね備え、側副血行路のような微細構造の撮影が可能となる。通常のスキャンで得られるスペクトラル情報を利用して低keV(本症例では55 keV)で画像を表示することで、画像コントラストが向上する。また、シネマティックボリュームレンダリング(cVRT)を用いれば、得られた最適な画質を、奥行き感と形状認識を高めた三次元画像でも示すことができる。これにより外科医との情報共有や、その後の手術計画が容易になる。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影範囲 | 心臓 |
撮影モード | 前向き心電図同期逐次撮影モード(Quantum Plus) |
撮影長 | 128.4 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 3.7 s |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 21 mAs |
画質レベル | 60 |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 8.9 mGy |
DLP | 115 mGy*cm |
回転時間 | 0.25 s |
ピッチ | 3.2 |
スライスコリメーション | 126 x 0.4 mm |
スライス幅 | 0.4 mm |
再構成間隔 | 0.4 mm |
再構成カーネル | Bv40, QIR 3 |
keVレベル | 55 keV |
心拍数 | 65 – 68 bpm |
造影剤濃度 | 400 mg/mL |
注入量 | 4段階注入プロトコル: - 生理食塩水のみ 10 mL
- 造影剤のみ 55 mL
- 30 mL(造影剤40%、生理食塩水60%)
- 生理食塩水のみ 30 mL
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注入速度 | 5 mL/s |
開始遅延時間 | 左心房で150 HUに達した時点でボーラストラッキングを開始 + 4 s |
画像提供:ハンガリー、ブダペスト、センメルワイス大学 医用画像センター