Le Qin, 医学博士、博士*;Haipeng Dong, 医学博士*;Fuhua Yan, 医学博士、博士*,**;Xi Zhao, 医学博士***;Wenjie Yang, 医学博士、博士*
* 上海交通大学医学院 瑞金医院 放射線科、中国・上海** 上海交通大学医学院 健康科学技術学院、中国・上海*** Siemens Healthineers、中国
2025年1月8日
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病歴
冠動脈ステント留置歴のある71歳男性が、定期フォローアップのため来院した。左主幹部(LM)、左前下行枝(LAD)の近位部および中部、左回旋枝(Cx)に、計4本のステントが留置されていた。冠動脈ステントの開存性とプラーク負荷を評価するため、超高解像度(UHR)スキャンモード(Quantum HD Cardiac)を用いて、デュアルソース光子計数検出器(PCD)CT装置NAEOTOM Alpha®で冠動脈CT血管造影(CCTA)を実施した。
診断
UHR CCTA画像では、相互に連結したステントが3本認められた。1本はLMから近位LAD(4 mm)に、残り2本は中部LAD(3 mmおよび2.75 mm)に留置されており、いずれも開存していてステント内再狭窄(ISR)の所見はなかった。近位Cxに留置された単独のステント(3.5 mm)では、中部に内膜過形成の所見があり、内腔狭窄率は50%未満であった。近位および遠位Cx、第2鈍縁枝、右冠動脈(RCA)に複数の石灰化プラークが認められ、中部RCAには混合プラークが2つ認められ、いずれも軽度狭窄を引き起こしていた。CT所見はCAD-RADS 2/Sに分類された。冠動脈ISRは否定され、患者は無症状であったため、さらなる侵襲的検査は不要と判断された。
図1:曲面MPR画像(図1a)では、LMおよびLADに留置された相互に連結する3本のステントが示され、ISRの所見は認められない。ステントストラットと、ステント外の石灰化および混合プラーク成分が明瞭に区別されている。近位Cxの単独ステント(図1b)では、中部に内膜過形成(矢印)が認められ、内腔狭窄率は50%未満である。近位および遠位Cx、RCA(図1c)には複数の石灰化プラークがあり、中部RCAには混合プラークが2つ(点線矢印)認められ、軽度狭窄を引き起こしている。
図2:標準画像(図2a)およびUHR画像(図2b)から再構成した曲面MPR画像で、近位Cxのステントを比較している。標準画像では、ステント中部の内膜過形成がISRを引き起こしているように見える。一方、UHR画像では内腔狭窄率が50%未満であることが明瞭に示され、ISRは否定される。
図3:UHR画像から作成したシネマティックVRT画像で、ステントと石灰化プラークを青色で強調した冠動脈樹の3次元像を示す。
解説
冠動脈ISRは、以前にステントを留置した動脈内腔が50%を超えて再狭窄し、血行再建を要する状態と定義される。ステント関連、手技関連、生物学的要因によって高頻度に生じる。ISRの基礎的な機序や病変基質を特定・評価し、臨床管理の指針とするため、血管造影、血管内超音波(IVUS)、光干渉断層法(OCT)などの冠動脈内画像検査が実施されてきた。[1] 従来のエネルギー積分型検出器(EID)CTによる冠動脈ステント開存性のCCTA評価は、ステントストラットによるブルーミングアーチファクトが課題となるため、米国心臓協会のガイドラインでは、直径3 mm以上のステントに限られている。[2] デュアルソースPCD-CT装置NAEOTOM Alphaに搭載されたUHRスキャンモードにより、評価の改善が期待されている。PCDでは、EIDのように物理的に分離するのではなく、電場を用いて検出器のサブピクセルをより小さく区分し、それぞれを個別に読み出すことで、幾何学的な線量効率を維持しながら空間分解能を高める。デュアルソースPCD-CTでは、時間分解能66 msでUHRデータを取得できる。このモードを用いた最近の研究では、侵襲的血管造影を基準とした冠動脈ステント開存性評価において、陰性的中率100%が得られた。[3]
本症例では、内腔狭窄率が50%未満となる低吸収の内膜過形成が明瞭に描出されており、UHR画像(0.2 mm、カーネルBv72)ではISRは否定された。一方、EID-CTによるCCTAの標準的な画像再構成を模して、カーネルBv48で0.6 mmに再構成した場合、ISRと診断され、さらなる侵襲的検査が必要と判断された可能性がある。PCD-CTが実現する高い空間分解能と時間分解能の組み合わせにより、冠動脈ステントの描出が効果的に向上し、石灰化プラークやステントストラットによるブルーミングの影響が最小限に抑えられる。[4] これにより、医師はステントの開存性を確信を持って評価し、患者管理について適切な判断を下すことができる。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影範囲 | 心臓 |
撮影モード | UHRモード(Quantum HD Cardiac)、後ろ向き心電図同期スパイラルスキャン |
撮影長 | 148 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 8.1秒 |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 40 mAs |
IQレベル | 64 |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 20.5 mGy |
DLP | 332 mGy*cm |
回転時間 | 0.25秒 |
ピッチ | 0.19 |
スライスコリメーション | 120 x 0.2 mm |
スライス厚 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.2 mm |
再構成マトリックス | 768 x 768 |
再構成カーネル | Bv72、QIR 4 |
心拍数 | 59 bpm |
造影剤濃度 | 400 mg/mL |
容量 | 75 mL + 生理食塩水43 mL |
注入速度 | 4.3 mL/s |
開始遅延 | 上行大動脈のHU値が80に達した時点でボーラストラッキングを起動 + 7秒 |
画像提供:上海交通大学医学院 瑞金医院 放射線科、中国・上海