Jan Baxa教授(医学博士、博士)
ピルゼン大学病院およびカレル大学医学部 画像診断部門(チェコ共和国、ピルゼン)
2024年9月18日
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病歴
安定狭心症が疑われる症状のある78歳の糖尿病女性患者が、検査のため来院した。冠動脈の評価と冠動脈狭窄の除外を目的に、冠動脈CT angiography(CCTA)が依頼された。デュアルソース光子計数検出器(PCD)CT、NAEOTOM Alpha®を用いて、前向き心電図同期逐次撮影を実施した。
診断
標準再構成によるCCTA画像では、左前下行枝(LAD)近位部に石灰化プラークが認められ、段差状アーチファクトが疑われた。TrueStack再構成では、画像スタックの位置ずれが明瞭に確認された。これは、患者の息止めが不十分だったことによる可能性が高い。ZeeFreeアルゴリズムを用いた画像再構成で位置ずれが補正され、軽度狭窄が明瞭に描出された。また、中部LADの非石灰化プラークに加え、右冠動脈(RCA)近位部、中部LADおよび回旋枝(Cx)近位部に複数の石灰化プラークが認められ、軽度狭窄(<50%)を引き起こしていた。CT所見はCAD-RADS 2/P2に分類された。
CCTA所見に基づき、冠動脈インターベンション(血管形成術)は不要と判断された。薬物療法が推奨された。
図1:MPR画像では、LAD近位部に認められた石灰化プラークを比較している。標準再構成では位置ずれが認められ(図1a)、TrueStack再構成で確認され(図1b)、ZeeFree再構成で解消された(図1c)。軽度狭窄が明瞭に描出されている(矢印)。
図2:標準再構成(図2a)およびZeeFree再構成(図2b)による対応する2枚の曲面MPR画像。ZeeFree補正後、石灰化プラークによるLAD近位部の軽度狭窄が明瞭に描出されている(図2b、矢印)。中部LADの非石灰化プラークも認められる(点線矢印)。
解説
複数の心臓病学会およびガイドラインでは、急性・慢性冠症候群における第一選択検査(クラスI)としてCCTAが位置付けられている。[1] CCTA画像診断に残された課題の一つは、複数の心周期にまたがる撮影の切り替わり部分に段差状アーチファクトが生じ、画像の診断能を損なうことである。これは、前向き心電図同期逐次撮影だけでなく、後ろ向き心電図同期ヘリカル撮影でも起こり得る。原因としては、息止めが不十分であること、患者の体動、撮影中の不整な心拍数などが考えられる。[2] TrueStack再構成画像では位置ずれの有無を明確に確認できるが、曲面平面再構成(CPR)として解析する場合、解釈が難しいことがある。ZeeFreeは、隣接する心周期間の撮影データの切り替わり部分に対し、再構成過程で非剛体レジストレーションを用いて位置ずれを補正・低減する新しい再構成技術である。検出器幅に依存しないアルゴリズムであり、前向き心電図同期逐次撮影と後ろ向き心電図同期ヘリカル撮影のどちらにも適用できる。[3] 最近の研究では、ZeeFreeアルゴリズムにより診断不能な冠動脈セグメントが有意に減少することが示されている。[2]
本症例では、標準再構成で認められ、TrueStack再構成で確認された段差状アーチファクトによる位置ずれが、ZeeFree再構成で解消され、本来の形態を確認できるようになった。これにより、医師は冠動脈に有意狭窄を伴わないアテローム性動脈硬化症があると確信を持って評価・確認でき、追加検査を回避できる。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOMAlpha |
|---|
撮影範囲 | 心臓 |
撮影モード | Quantum |
撮影長 | 126.2 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 9.2 s |
管電圧 | 90 kV |
実効mAs | 155 mAs |
IQレベル | 75 |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 21.2 mGy |
DLP | 398 mGy*cm |
回転時間 | 0.25 s |
スライスコリメーション | 144 x 0.4 mm |
スライス厚 | 0.4 mm |
再構成間隔 | 0.2 mm |
再構成カーネル | Bv60 QIR 4 |
keVレベル | 60 keV |
心拍数 | 61 – 65 bpm |
造影剤 | 370 mg/mL |
容量 | 50 mL + 生理食塩水40 mL |
注入速度 | 6 mL/s |
開始遅延時間 | テストボーラス:上行大動脈のピーク濃度到達時間 + 4秒 |
画像提供:ピルゼン大学病院およびカレル大学医学部 画像診断部門(チェコ共和国、ピルゼン)