Chao Zhang, RT*; Daming Zhang, MD*; Man Wang, RT*; Jin Chen, RN*; Xi Zhao, MD**; Yun Wang, RT*
* 北京協和医学院 放射線科、中国・北京** シーメンスヘルスケア、中国
2024年8月28日
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病歴
授乳後の過去8年間に、両側性の症候性乳房肥大と高度の下垂(グレード3)を呈していた32歳の女性患者が、乳房縮小術を受けることになった。手術前に、乳頭乳輪複合体(NAC)の主要な血液供給とその血管起始部を評価するため、デュアルソース光子計数検出器(PCD)CT装置NAEOTOM Alpha®を用いて、超高解像度(UHR)スキャンモードでCT血管造影(CTA)を実施した。
診断
CTA画像では、左右両側に単一の起始動脈からなる対称的な血管パターンが認められた。主要動脈は、右側では第1肋間、左側では第2肋間で内胸動脈から分岐し、NAC領域に血液を供給していた。50 keVで表示した仮想単色画像(VMI)では、造影効果が高まり、NACに至る末梢動脈がより明瞭に描出された。これらの画像から、シネマティックボリュームレンダリング法(cVRT)を用いて三次元(3D)画像を作成した。患者の手術時の体位に合わせ、動脈と骨、筋肉、脂肪組織との解剖学的関係を示すため、さまざまなプリセットを適用した。レンダリング画像をホログラフィック位置特定に用い、手術前に患者の体表へ動脈の位置をマーキングした。
患者は乳房縮小術および有茎乳頭乳輪再建術を受け、良好な結果が得られた。
図1:cVRT画像では、左右両側に単一の起始動脈からなる対称的な血管パターンが示されている。主要動脈は、右側では第1肋間、左側では第2肋間で内胸動脈から分岐し、NAC領域に血液を供給している。異なるプリセットを用いて、動脈と骨(図1a)、筋肉(図1b)、脂肪組織(図1c)との解剖学的関係を、患者の手術時の体位に合わせて示している。
解説
巨大乳房症(乳房肥大症とも呼ばれる)は、乳房が過剰に大きくなる疾患であり、患者に身体的・心理的な負担をもたらす。症候性乳房肥大に対する効果が持続する非手術的治療法はなく、その正確な原因も明らかになっていない。[1] 乳房縮小術による外科的治療は、症状を緩和する最善の方法としてガイドラインで認められており、最も一般的な治療法である。[2] しかし、血液供給が複雑なため、手術中の動脈損傷により、術後にNACの機能が失われたり、壊死に至ったりする場合がある。発生率は最大13%と報告されている。[3] 研究によると、NACの血液供給パターンは個人差が大きく、同一人物でも左右の乳房で異なることがある。起始動脈は単一の場合も複数の場合もあり、対称性または非対称性のパターンを示す。検出可能な血管径の閾値を1.0 mm超に設定すると、主要動脈が描出されない場合もある。[3] そのため、乳房縮小術を成功させ、患者ごとに適した術式を設計するには、NACの血液供給をより正確に把握できる高解像度のCTA画像が重要である。
本症例では、デュアルソースPCD-CT装置NAEOTOM Alphaを使用した。この装置は、電子ノイズを伴わずに、空間分解能を向上させたエネルギー分解CTデータを固有のスペクトル情報とともに提供する。[4] これらの先進技術により、NACに至る細い末梢動脈の詳細な画像化が可能になる。PCDの個々の検出器ピクセルは、従来のエネルギー積分型検出器(EID)CTで用いられる物理的な分離ではなく、強い電場によって画定される。その結果、放射線量効率を損なうことなく小さなサブピクセルを実現している。したがってUHRモードでは、120 x 0.2 mmの細かいコリメーションと高い面内分解能が得られる。また、スライス幅0.4 mmでスペクトル情報を利用でき、低keV値(本症例では50 keV)のVMIを表示することで、造影効果を高められる。電子ノイズがないため、最適な画質を維持しながら、線量を低減できる可能性がある(本症例では4.5 mGy)。
本症例が示すように、術前CTA画像はNAC領域の主要な血液供給を包括的に把握するのに役立ち、乳房縮小術の手術計画を支援する有用なツールである。PCD-CTで取得したUHR画像は、被ばく線量を抑えながら血管の詳細な描出を改善できる可能性を示している。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影範囲 | 胸部 |
スキャンモード | UHRモード(Quantum HD) |
撮影長 | 264.8 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 3.9秒 |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 56 mAs |
IQレベル | 102 |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 4.5 mGy |
DLP | 123 mGy*cm |
回転時間 | 0.25秒 |
スライスコリメーション | 120 x 0.2 mm |
スライス幅 | 0.2 / 0.4 mm |
再構成間隔 | 0.2 / 0.2 mm |
再構成カーネル | Bv60 |
スペクトル再構成 | Monoenergetic Plus |
造影剤 | 370 mg/mL |
容量 | 50 mL + 40 mL(80%)+ 20 mLの生理食塩水 |
注入速度 | 5 mL/s + 4.5 mL/s + 4 mL/s |
開始遅延時間 | 40秒 |
画像提供:北京協和医学院 放射線科、中国・北京