Jie Liu(放射線技師)*、Yanbo Gu(放射線技師)*、Yonggao Zhang(医学博士)*、Jianbo Gao(医学博士)*、Xi Zhao(医学博士)**
* 中国河南省・鄭州大学第一附属病院 放射線科 ** Siemens Healthineers、中国
2024年8月21日
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病歴
60歳の男性患者が、1か月前から続く間欠的な胸痛と息切れを訴え、検査のため来院した。4年前に心筋梗塞を発症し、左前下行枝(LAD)に連結した2本のステント(3.5 mm × 20 mmおよび3.0 mm × 38 mm)を留置していた。その1年後に肺がんと診断され、化学療法を受けている。6か月前に従来型のエネルギー積分型検出器(EID)CTで冠動脈CT血管造影(CCTA)による経過観察を行った際には、左室心尖部動脈瘤以外に特記すべき所見はなかった。今回、冠動脈とステントの開存性を評価するため、再度CCTAが依頼された。デュアルソース光子計数検出器(PCD)CTのNAEOTOM Alpha®を用い、超高解像度(UHR)モードで、前向き心電図同期逐次CCTAを実施した。
診断
CCTA画像では、LAD内の連結した2本のステントが明瞭に描出され、いずれも開存していた。ステント近位に非石灰化プラークが認められ、軽度狭窄(<50%)を引き起こしていた。さらに、中部回旋枝(Cx)および右冠動脈(RCA)に、点状石灰化とポジティブリモデリングを特徴とする高リスクプラーク(HRP)を含む混合プラークが2つ認められ、いずれも軽度狭窄を引き起こしていた。RCAではHRPの遠位に非石灰化プラークが2つ認められ、軽度狭窄を引き起こしていた。左主幹部(LM)、LAD近位部および中部、回旋枝(Cx)、ならびに右冠動脈(RCA)には複数の石灰化プラークが認められたが、有意な狭窄はなかった。左心室は拡大し、心尖部動脈瘤が明らかであった。冠動脈は右優位型であった。CT所見はCADRADS 2/P2/HRP/Sに分類された。さらなる侵襲的精査は不要と判断された。患者は冠動脈疾患(CAD)に対する薬物療法と肺がんに対する化学療法を継続した。短期間での臨床的経過観察が推奨された。
図1:LADの曲面MPR画像。ステントの開存性と、ステント近位にあり軽度狭窄を引き起こす非石灰化プラーク(矢印)の詳細を比較している。PCD-CTで撮影した軸位画像は、Bv72カーネルを用いて0.2 mmで再構成した画像(図1a)と拡大画像(図1c)を示す。従来型EID-CTで撮影した軸位画像は、標準カーネルを用いて0.625 mmで再構成した(図1b)。
図2:曲面MPR画像。中部CxのHRP(矢印)の詳細を比較している。PCD-CTで撮影した軸位画像は、Bv72カーネルを用いて0.2 mmで再構成した画像(図2a)と拡大画像(図2c)を示す。従来型EID-CTで撮影した軸位画像は、標準カーネルを用いて0.625 mmで再構成した(図2b)。
図3:曲面MPR画像。中部RCAのHRP(矢印)と、HRP遠位にあり軽度狭窄を引き起こす2つの非石灰化プラーク(点線矢印)の詳細を比較している。PCD-CTで撮影した軸位画像は、Bv72カーネルを用いて0.2 mmで再構成した画像(図3a)と拡大画像(図3c)を示す。従来型EID-CTで撮影した軸位画像は、標準カーネルを用いて0.625 mmで再構成した(図3b)。
図4:シネマティックVRT画像。冠動脈と、心尖部動脈瘤を伴う拡大した左心室を三次元的に示す。ステントと石灰化プラークを緑色で強調表示している。
考察
従来型CTを用いた冠動脈ステントの開存性評価では、ステント支柱によるブルーミングアーチファクトが課題となっている。米国心臓協会のガイドラインでは、ガイドラインに基づく管理および治療にもかかわらず症状の変化がみられる患者に対して、ステント径3 mmを境界として適用が制限されている。[1] 将来の急性冠症候群(ACS)および病変特異的虚血のリスク上昇と関連するHRPは、CAD-RADSの推奨に修飾因子として組み込まれている。同推奨では、病変が閉塞性でない場合でも、HRPを特定することにより、より積極的な予防治療が必要であることが示される。[2] 研究によると、重大な心血管有害事象(MACE)を引き起こす責任プラークの半数は、過去に50%未満の狭窄を引き起こしていた。[3]
冠動脈ステントの開存性およびHRPのCCTA評価には、高い空間分解能と時間分解能の両方が求められ、技術的な課題が伴う。デュアルソースPCD-CTであるNAEOTOM Alphaの導入により、改善の可能性が示されている。PCD-CTのUHRモードは、従来型EID-CTとは異なる仕組みで動作する。EID-CTでは、物理的な分離によって小さな検出器ピクセルを形成するため、幾何学的線量効率が低下する。一方、PCD-CTでは電場を用いて小さなサブピクセルを定義し、それぞれを個別に読み出すことで空間分解能を高める。このモードを用いた最近の研究では、参照基準を侵襲的血管造影とした冠動脈ステント開存性評価において、陰性的中率100%が達成された。[4] HRPの特徴の特定にも、UHRモードによる空間分解能の向上と、デュアルソース方式による66 msの高い時間分解能が役立つ。[5] この組み合わせにより、石灰化プラークやステント支柱に起因するブルーミングの影響を効果的に最小限に抑えられる。
本症例では、UHRモードを用いた評価により、臨床医はステントの開存性を確認し、HRPを適切に特定できた。さらなる侵襲的冠動脈造影は不要と判断されたため、患者は関連する費用やリスクを避けることができた。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影範囲 | 心臓 |
撮影モード | UHRモード(Quantum HD Cardiac)、前向き心電図同期逐次モード |
撮影長 | 128.8 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 6.9秒 |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 59 mAs |
IQレベル | 85 |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 14.3 mGy |
DLP | 184 mGy*cm |
回転時間 | 0.25秒 |
スライスコリメーション | 120 × 0.2 mm |
スライス厚 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.2 mm |
再構成カーネル | Bv72、QIR 4 |
心拍数 | 51~55 bpm |
造影剤 | 400 mg/mL |
容量 | 51 mL + 生理食塩水41 mL |
注入速度 | 4.1 mL/s |
開始遅延 | 下行大動脈で100 HUに達した時点でボーラストラッキングをトリガー + 7秒 |
画像提供:中国河南省・鄭州大学第一附属病院 放射線科