Yujie Gao 医師*;Song Luo 医師*;Xi Zhao 医師**
* 南京医科大学附属老年病院 放射線科(中国・江蘇省)** Siemens Healthineers、中国
2024年7月31日
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病歴
動悸と胸部圧迫感を訴える76歳の男性患者が来院した。14年前、患者は冠動脈ステント留置術を受け、左主幹部(LM)と左前下行枝(LAD)に重複するステントを3本、回旋枝(Cx)にステントを1本留置されていた。11年後にエネルギー積分型検出器(EID)CTで冠動脈CT血管造影(CCTA)によるフォローアップ検査を行ったところ、良好な結果が得られ、追加治療の必要性は認められなかった。その後、患者は薬物療法を受けた。今回、冠動脈とステントの開存性を評価するため、デュアルソース光子計数検出器(PCD)CT、NAEOTOM Alpha®を用いて、心電図同期逐次撮影による超高解像度(UHR)CCTAを実施した。
診断
CCTA画像では、LM、近位部および中部LADに重複するステントが3本、近位部Cxにステントが1本認められた。Cxのステントを除くすべてのステントは開存していた。Cxのステント遠位部には非石灰化プラークが認められ、重度狭窄(>70%)を引き起こしていた。また、右冠動脈(RCA)中部には、点状石灰化と陽性リモデリングを特徴とする高リスクプラーク(HRP)が認められ、軽度狭窄(<50%)を引き起こしていた。LM、近位部LAD、RCA中部および近位部Cxには複数の石灰化プラークが認められたが、有意な狭窄はなかった。CT所見はCAD-RADS 4/P2/HRP/Sに分類された。患者には冠動脈インターベンション(血管形成術)が推奨されたが、本人は拒否し、薬物療法を継続した。
図1:LMおよびLADの曲面MPR画像。異なる再構成画像を比較している。スライス厚0.2 mm、カーネルBv72(図1a、PCD-CT)、スライス厚0.2 mm、カーネルBv60(図1b、PCD-CT)、スライス厚0.6 mm、カーネルBv48(図1c、PCD-CT)、スライス厚0.75 mm、カーネルBv49(図1d、EID-CT)。カーネルBv72で0.2 mmに再構成した画像では、ステントの開存性が明瞭に描出されている。
図2:Cxの曲面MPR画像。図1と同じ順序で異なる再構成画像を比較している。遠位部ステント内の非石灰化プラークが重度狭窄を引き起こしている(図2a、矢印)。カーネルBv72で0.2 mmに再構成した画像では、これが明瞭に示されている。
図3:RCAの曲面MPR画像。図1および2と同じ順序で異なる再構成画像を比較している。点状石灰化と陽性リモデリングを伴うRCA中部のHRP(矢印)が軽度狭窄を引き起こしており、カーネルBv72で0.2 mmに再構成した画像で明瞭に認められる。
図4:Cx(図4a)およびRCA(図4b)の曲面MPR画像。Cx遠位部ステント内の非石灰化プラークによる重度のステント内狭窄(図4a、矢印)と、点状石灰化および陽性リモデリングを特徴とするHRPを伴うRCA中部の非石灰化プラーク(図4b、点線矢印)を拡大して示している。画像はカーネルBv72で0.2 mmに再構成されている。
図5:シネマティックVRT画像で、冠動脈を三次元表示している。ステントと石灰化プラークが強調表示されている。使用した元画像はカーネルBv72で0.2 mmに再構成されている。
解説
冠動脈ステント留置術は、心筋の血流を改善するための冠血行再建術として広く行われている。長期的な臨床転帰は、ステントの開存性に左右される。米国心臓協会のガイドラインでは、冠動脈ステント(直径3 mm以上)の開存性評価にCCTAが有用であると認められている。[1] しかし、重度の石灰化プラークやステントストラットによるブルーミングアーチファクトは冠動脈内腔の描出を妨げ、診断を困難にする。デュアルソースCTの原理による時間分解能の向上、撮影プロトコルの最適化、反復再構成アルゴリズムの改良など、ステント画像におけるCCTAの診断精度向上を目指したCT技術の進歩が重ねられてきた。UHRモードを備えたデュアルソースPCD-CTの導入により、この分野はさらに進歩した。最近の研究では、侵襲的血管造影を基準として、PCD-CTのUHRモードによる冠動脈ステント開存性評価で陰性的中率100%が達成された。[2] PCD-CTは、電子ノイズを伴わず、空間分解能を高めたエネルギー分解CTデータを提供する。[3] 光子計数検出器では、個々の検出器素子の間に隔壁を設けて光学的クロストークを防ぐ必要がない。そのため、シンチレーション検出器よりも細かい構造にできる。[4] 物理的な隔壁の代わりに電場を用いて、個別に読み出される小さなサブピクセルを定義し、空間分解能を高めている。この方法により、検出器の幾何学的線量効率も向上する。空間分解能の向上と高い時間分解能(66 ms)の組み合わせにより、ブルーミングアーチファクトを効果的に克服できる。[5]
本症例では、臨床医がUHRモードを用いてステントの開存性、非石灰化プラークによるステント内再狭窄、およびHRPを適切に評価できた。この情報は、患者の状況に応じた適切な治療計画とフォローアップ計画の策定に必要な情報を医師に提供する。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影範囲 | 心臓 |
撮影モード | UHR(Quantum HD Cardiac)、前向き心電図同期逐次撮影モード |
撮影長 | 128.8 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 10秒 |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 58 mAs |
IQレベル | 85 |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 11.8 mGy |
DLP | 152 mGy*cm |
回転時間 | 0.25秒 |
スライスコリメーション | 120 x 0.2 mm |
スライス厚 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.2 mm |
再構成カーネル | Bv60 / Bv72、QIR 4 |
心拍数 | 59~61 bpm |
造影剤 | 350 mg/mL |
容量 | 52 mL + 生理食塩水40 mL |
注入速度 | 4 mL/s |
撮影開始遅延 | 下行大動脈で100 HUに達した時点でボーラストラッキングを開始し、6秒後に撮影 |
画像提供:南京医科大学附属老年病院 放射線科(中国・江蘇省)