Hunor Sükösd, MD; Éva Juhász, RT
ハンガリー、ブダペスト、センメルワイス大学医用画像センター
2023年11月13日
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病歴
左側のほうが強い両側性の進行性伝音難聴を呈する7歳の女児が来院した。身体診察では両側の鼓膜に異常は認められなかった。中耳感染の徴候もなかった。中耳構造をさらに評価するため、CT検査が適応となった。デュアルソース光子計数CT(NAEOTOM Alpha®)で超高分解能(UHR)スキャンモード(Quantum HD)を実施した。
診断
UHR CT画像では、左中耳に軟部組織腫瘤が認められ、乳突洞まで進展していた。キヌタ骨長脚およびアブミ骨のびらんが認められた。鼓膜と鼓室上壁は保たれており、プルサック腔は正常であった。貯留液や発育異常は認められなかった。CT所見はPotsic分類IV期の先天性真珠腫に合致していた。右側には病的所見は認められなかった。診断確定のためMRI検査を実施したところ、腫瘤に拡散制限の亢進が認められ、真珠腫の特徴を示していた。MRIでも右側に異常は認められなかった。症状が左側で強く、右側に病的所見がなかったため、まず左側の治療を行った。手術所見によりCT診断が確認された。術後も症状が続く場合は、後日、反対側の診断的鼓室形成術を検討することとした。
図1:軸位断像(図1a、1b)および冠状断MPR像(図1c、1d)では、左中耳に軟部組織腫瘤が認められ、キヌタ骨長脚およびアブミ骨が侵食されている。プルサック腔(図1d、矢印)は正常で、鼓室上壁も保たれている。右側に特記すべき所見はない。cVRT画像(図1e、1f)は両側耳小骨の3D表示を示す。右側は正常で、左側にはびらんが認められる。cVRT作成に使用した入力画像は、非常にシャープなHr84カーネルで再構成した0.2 mmのUHR画像であることに留意されたい。
解説
先天性真珠腫は外胚葉由来の封入嚢胞で、ケラチンの残渣とコレステロールからなる。滲出性中耳炎に次いで、小児の伝音難聴の比較的よく見られる原因の一つである。[1] 診断されないまま放置すると、中耳構造が広範に破壊され、聴覚器に永続的な損傷をもたらすことがある。広範な手術を避け、聴力を保つには早期診断が不可欠である。[2] しかし、多くの小児は無症状で、精密な検査を受けることに抵抗を示すことも少なくない。術前CT検査は、既存病変の範囲を明らかにし、骨迷路や耳小骨を評価するとともに、必要となる可能性のある手術を計画するうえで不可欠である。このため、詳細な構造の評価には高い空間分解能が、小児患者には低線量が特に求められる。
本症例では、デュアルソース光子計数CT(NAEOTOM Alpha)のUHRモードを使用し、120 × 0.2 mmのコリメーションでスキャンデータを取得し、非常にシャープな骨用カーネル(Hr84)を用いてスライス厚0.2 mmで画像を再構成した。このモードでは、光子計数検出器の各サブピクセルを個別に読み出すことで、線量効率を維持しながら空間分解能を向上させる。[3] 最適化した70 kVプロトコルにより、DLPはわずか92.3 mGy*cmと非常に低く、この種の検査で一般的な200~400 mGy*cmを大幅に下回った。光子計数CTでは、検出器の開口部を狭めるための追加の櫛状部材やグリッドを使用せず、線量効率を維持したままUHRスキャンデータを取得できるため、画像ノイズを大幅に増やすことなく低被ばくでUHR撮影が可能となる。さらに、改良型モデルベース逐次近似再構成法(Quantum Iterative Reconstruction、QIR)を用いて画像ノイズを低減する。UHR画像は、シネマティックボリュームレンダリング技術(cVRT)を用いた写実的な三次元画像の作成にも使用でき、解剖学的詳細の提示を通じて、耳科医による適切な手術計画の立案を支援する。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影部位 | 側頭骨 |
スキャンモード | UHRモード |
スキャン長 | 53.8 mm |
撮影方向 | 尾側から頭側 |
撮影時間 | 1.3秒 |
管電圧 | 70 kV |
実効mAs | 340 mAs |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 13 mGy(16 cmファントム) |
DLP | 92.3 mGy*cm |
回転時間 | 0.5秒 |
ピッチ | 0.85 |
スライスコリメーション | 120 × 0.2 mm |
スライス厚 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.2 mm |
再構成カーネル | Hr84、QIR 3 |
画像提供:ハンガリー、ブダペスト、センメルワイス大学医用画像センター