Ronald Booij博士、Edwin Oei教授(医学博士、博士)
エラスムスMC 放射線科・核医学科、オランダ、ロッテルダム
2023年10月6日
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病歴
20歳の男性患者は、5年前に手を伸ばして転倒するFOOSH(手をついた状態での転倒)による舟状骨骨折に対し、スクリュー固定術を受けた。骨癒合不全のため、4年後にスクリューの再手術が必要となった。経過観察のCTでは、金属アーチファクトが存在し、スクリュー周囲の骨構造が不明瞭であった。さらなる評価が必要となり、当院に新たに導入されたフォトンカウンティングCT(PCCT)装置(NAEOTOM Alpha®)を用いて、超高解像度(UHR)スキャンモード(Quantum HD)で撮影を行った。
診断
UHR CT画像では、スクリューが留置された舟状骨骨折が確認された。舟状骨の骨折線は硬化縁を伴い、依然として広範囲にわたり明瞭に認められた。中央部にはわずかな架橋形成が見られたものの、明らかな骨癒合は認められなかった。スクリュー先端およびその周囲の複数箇所に透亮像が認められ、スクリューの緩みを示唆していた。スクリューは近位側で橈骨手根関節内に突出し、スクリューヘッドが橈骨にわずかに食い込んでいるように見えた。骨溶解の兆候やスクリューの移動を示す所見はなかった。橈骨手根関節および舟状骨・大菱形骨・小菱形骨関節(STT関節)には、初期の変形性関節症性変化が認められた。月状骨のわずかな背側傾斜が見られ、舟状骨‐月状骨間距離は月状骨‐三角骨間距離と比べて軽度に拡大していた。要約すると、CT所見からは、明らかな骨癒合を伴わない中央部の限局的な骨性架橋形成と、スクリューの緩みが示唆された。その後、患者には外科的再手術が予定された。
図1:スクリューに平行に再構成したMPR画像(図1a、1c)およびcVRT画像(図1b、1d)では、スクリュー先端とその周囲の複数箇所に透亮像が認められ、スクリューの緩みが確認できる。スクリュー周囲の金属アーチファクト低減効果は顕著であり、骨折部周囲の海綿骨構造を確認できる。舟状骨の骨折線は硬化縁を伴い、依然として広範囲にわたり明瞭に認められる。
解説
FOOSHによる舟状骨骨折はよく見られる。治癒過程が妨げられると骨癒合不全が残存し、手関節機能に影響を及ぼす可能性がある。骨折固定にはさまざまな手法があり、その一つがスクリュー固定である。骨癒合または骨癒合不全の確認、スクリューの位置評価、手術計画の支援のため、CTによる経過観察がしばしば行われる。[1-3] CT画像検査に求められる要件は4つある。骨性架橋を描出し、骨癒合と骨癒合不全を鑑別するには高い空間分解能が必要である。金属インプラント周囲の骨構造を評価し、緩みの有無を判断できるよう、金属アーチファクトを最小限に抑える必要がある。繰り返し撮影による被ばくを低減するには低線量が求められる。さらに重要な点として、手術計画のために舟状骨内角や舟状骨の圧潰要素を評価し、臨床医、そして特に患者に分かりやすく説明するうえで、高品質な三次元画像が役立つ。
本症例は、新たに開発されたPCCT装置NAEOTOM Alphaで撮影した。この装置は、電子ノイズを伴わず、空間分解能を向上させたエネルギー分解CTデータを提供する。[4] 120 × 0.2 mmの極薄スライスコリメーションを用いることで、空間分解能が向上している。従来、薄いスライス画像は画像ノイズが大きく、3D画像のレンダリングには適さないと考えられていた。しかし本症例では、PCCTにより、低線量で取得した0.2 mm画像を非常にシャープなBr89カーネル(変調伝達関数の2%値:31 lp/cm)で再構成しても、画像ノイズが低く抑えられることが示されている。これは、検出器開口部を狭める追加のコームやグリッドを使用せず、線量効率を損なうことなくUHRスキャンデータを取得し、さらに改良型モデルベース逐次近似再構成(Quantum Iterative Reconstruction、QIR)によって画像ノイズを低減することで実現される。そのため、UHR画像はシネマティック・ボリュームレンダリング技術(cVRT)による写実的な3D可視化に最適である。舟状骨骨折周囲の海綿骨構造など、解剖学的詳細を確認できる。スクリュー周囲の金属アーチファクト低減により、放射線科医は透亮像を明瞭に描出でき、診断確信度を高めてスクリューの緩みを確認できる。さらにPCCTでは、ノイズフロアを十分に上回る位置に所定のデジタルしきい値を設定して計数することで、電子ノイズが除去される。電子ノイズは低いX線線量率で支配的となるため、その除去は、専用のスズフィルターを組み込んだスキャンなどの低線量CTに特に大きな効果をもたらす。本症例はPCCTの習熟曲線の初期段階に撮影したもので、当時は線量低減にかなり慎重だった。装置の可能性に気づくまでに時間はかからず、手関節撮影の通常プロトコルでは、線量をさらに半分(3.5~4 mGy)まで低減し、最適な画質を維持している。
検査プロトコル
装置 | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影部位 | 手関節 |
撮影モード | UHRモード |
撮影範囲 | 48.3 mm |
撮影方向 | 尾側から頭側 |
撮影時間 | 3.5秒 |
管電圧 | Sn140 kV |
実効mAs | 216 mAs |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 7.8 mGy |
DLP | 65.3 mGy*cm |
回転時間 | 0.5秒 |
ピッチ | 0.4 |
スライスコリメーション | 120 × 0.2 mm |
スライス厚 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.1 mm |
再構成カーネル | Br89、QIR 3 |
画像提供:エラスムスMC 放射線科・核医学科(オランダ、ロッテルダム)