ロナルド・ブーイ博士、エドウィン・オーイ教授(医学博士、博士)
エラスムスMC 放射線・核医学科(オランダ、ロッテルダム)
2023年9月22日
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病歴
体操選手である13歳の女性患者が、過去18か月にわたる左肘の症状を訴えて当院を受診した。肘のX線画像で、上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(OCD)が疑われた。病変の大きさと遊離骨片の有無をさらに評価するため、フォトンカウンティングCT(PCCT)装置(NAEOTOM Alpha®)で超高解像度(UHR)スキャンモード(Quantum HD)による撮影が依頼された。
診断
UHR CT画像では、左上腕骨小頭の内側に皮質欠損が認められ、その大きさは約9.2 mm(冠状断)×9.8 mm(矢状断)×4.1 mm(深さ)だった。遊離骨片が2つあり、1つは約5.1 mmで上腕骨小頭の隣に、もう1つは約6.2 mmで肘頭の外側後方に認められた。その他の部位に限局性骨異常や限局性筋異常を示す所見はなかった。橈骨頭の骨梁構造は正常だった。CT所見から、左上腕骨小頭に2つの遊離骨片を伴うOCD病変があり、病変は不安定であることが示唆された。その後、患者は関節鏡手術を受ける予定となった。
図1:3D表示で再構成したMPR画像(図1a、1d、1g)およびcVRT画像(図1b、1c、1e、1f、1h、1i)に、左上腕骨小頭の皮質欠損と2つの遊離骨片が示されている。1つは上腕骨小頭の隣(矢印)、もう1つは肘頭の外側後方(点線矢印)に認められる。橈骨頭の骨梁構造は正常である。cVRT作成用の元画像は、スライス厚0.2 mm、非常にシャープなBr89カーネルで再構成されている。
解説
OCDは関節軟骨および軟骨下骨の疾患で、思春期のアスリートに最も多く発生する。[1] 肘では通常、上腕骨小頭に発生する。早期に発見し、適切な介入を行うことで、OCD病変の断片化や不可逆的な軟骨損傷の進行を防げる可能性がある。最適な治療法を決定するには、OCD病変が安定しているか不安定であるかを見極めることが重要であり、その判断においてCTはX線撮影より感度が高いと考えられている。[2] 不安定な病変には外科的治療が必要となる。その前に、手術計画のため、病変の大きさ、病変片の安定性と生存性、遊離体の数など、詳細な診断情報を得ることが不可欠である。
本症例では、新たに開発されたデュアルソースPCCT装置NAEOTOM Alphaを使用した。この装置は、電子ノイズを伴わず、空間分解能を向上させたエネルギー分解CTデータを提供する。[3] UHR画像はスライス幅0.2 mmで取得し、変調伝達関数の2%値が31 lp/cmとなる非常にシャープなカーネル(Br89)を用いて再構成した。これにより、皮質骨および海綿骨の微細構造をより鮮明に描出でき、放射線科医の診断確信度が高まる。従来のCTでは、UHR画像はノイズが増加し、より高い被ばく線量が必要とされていた。しかしPCCTでは、検出器の開口部を狭める追加のコームやグリッドを使用せず、線量効率を損なわずにUHRスキャンデータを取得できる。また、改良されたモデルベース逐次近似再構成法(Quantum Iterative Reconstruction、QIR)により画像ノイズがさらに低減されるため、画像ノイズを大幅に増やすことなくUHR撮影が可能である。画像ノイズが低いため、UHR画像をシネマティック・ボリュームレンダリング(cVRT)にも使用でき、優れた写実的な3D画像を得て、手術計画に役立てられる。さらに、画像ノイズの低減により被ばく線量も低減できる可能性があり、特に若年患者にとって重要である。本症例が示すように、PCCTによるUHR画像で得られる空間分解能の向上と画像ノイズの低減の組み合わせは、筋骨格画像診断に大きな利点をもたらす。
検査プロトコル
装置 | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影範囲 | 左肘 |
撮影モード | UHRモード |
撮影長 | 103 mm |
撮影方向 | 尾側から頭側 |
撮影時間 | 3.8秒 |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 56 mAs |
線量調整 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 4.5 mGy |
DLP | 50.8 mGy*cm |
回転時間 | 0.5秒 |
ピッチ | 0.55 |
スライスコリメーション | 120 × 0.2 mm |
スライス厚 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.1 mm |
再構成カーネル | Br89、QIR 3 |
画像提供:エラスムスMC 放射線・核医学科(オランダ、ロッテルダム)