Jan Baxa, MD, Ph.D.
チェコ共和国、ピルゼン、ピルゼン大学病院およびカレル大学医学部 画像診断部門
2023年8月25日
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病歴
14歳の女児が、右手を伸ばした状態で転倒し、救急外来を受診した。X線検査では特記すべき所見は認められなかった。2週間後も右手首の痛みと可動域制限が続いたため、再度X線検査を実施したが、結果は判然としなかった。精査のため、フォトンカウンティングCT(PCCT)装置(NAEOTOM Alpha)を用い、超高解像度(UHR)モードでCT検査を行った。
診断
UHR CT画像では、舟状骨に斜走する骨折線が認められた。転位や離開は認められなかった。裂隙には明らかな高濃度化、あるいは硬化像がみられ、不完全な骨癒合を示唆していた。CT所見に基づき、患者には外固定用スプリントによる固定を行った。3週間後のフォローアップX線検査では、合併症を伴わず骨癒合が進行していることが確認された。
図1:UHR CT画像(図1a、1b)およびcVRT画像(図1c、1d)では、舟状骨に転位や離開を伴わない斜走骨折線(矢印)が認められる。cVRT作成用の入力画像は、Br84の非常にシャープなカーネルを用い、画像マトリックス1024 x 1024で、スライス厚0.2 mmに再構成されている。
図2:cVRT画像(図2a、2c)およびUHR CT画像(図2b、2c)では、舟状骨の骨折線が認められる。裂隙には高濃度化(矢印)がみられ、不完全な骨癒合を示唆している。cVRT作成用の入力画像は、Br84の非常にシャープなカーネルを用い、画像マトリックス1024 x 1024で、スライス厚0.2 mmに再構成されている。
解説
舟状骨骨折は手根骨骨折の中で最も頻度が高い。手首のX線画像で診断が見逃されたり確定できなかったりすると、初期治療が遅れる可能性がある。その結果、骨癒合不全を生じ、最終的には手首の可動域低下や変形性関節症につながることがある。CT画像検査は、舟状骨骨折の診断精度向上だけでなく、経過観察においても重要な役割を果たす。多断面再構成(MPR)に加え、シネマティックボリュームレンダリング法(cVRT)などの3D再構成によって、詳細な情報が得られる。従来型CT装置では、空間分解能を向上させる一方で、被ばく線量を増やしたり、過度な画像ノイズを許容したりしないことが課題だった。PCCTの登場により、特にUHRモードを使用することで、これが可能になった。デュアルソースPCCT(NAEOTOM Alpha)で、スライス幅0.2 mmでデータを収集し、画像マトリックス1024 x 1024を用いてBr84の非常にシャープなカーネルで再構成する。UHRスキャンのデータ収集では、従来装置のように検出器開口部を狭めるためのコームやグリッドを追加し、それに伴って線量効率を低下させ、被ばく線量を増加させることなく、線量効率を最大限に保つことができる。画像再構成では、モデルベースの逐次近似再構成法であるQuantum Iterative Reconstruction(QIR)を適用して、画像ノイズをさらに低減する。その結果、画像ノイズを抑えながら、骨梁構造を鮮明に描出できる。PCCTによるUHRスキャンデータの収集は、末梢骨の軽微な損傷、特にX線検査で確定診断が得られない場合や臨床症状が非典型的な場合に非常に有用である。本症例で示すように、X線画像では見逃された骨折線がUHR CT画像では明瞭に描出されている。画像ノイズが少ないため、舟状骨を実物に近い3D画像として可視化するcVRT画像の作成にも入力画像として使用でき、医師が最適な治療方針を決定する助けとなる。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影部位 | 手首 |
撮影モード | UHRモード |
撮影範囲 | 96.2 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 2.4秒 |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 40 mAs |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 3.2 mGy |
DLP | 56.1 mGy*cm |
回転時間 | 0.5秒 |
ピッチ | 0.85 |
スライスコリメーション | 120 × 0.2 mm |
スライス厚 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.1 mm |
再構成カーネル | Br84, QIR 3 |
再構成マトリックス | 1024 x 1024 |
画像提供:チェコ共和国、ピルゼン、ピルゼン大学病院およびカレル大学医学部 画像診断部門