@TilmanEmrich, MD*; Moritz Halfmann, MD*; Michaela Hell, MD**
* ドイツ、マインツ、ヨハネス・グーテンベルク大学医療センター、画像診断・インターベンショナル放射線科
** ドイツ、マインツ、ヨハネス・グーテンベルク大学医療センター、循環器科
2023-08-11
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病歴
62歳の女性患者が、典型的な狭心症と広範な心血管リスク因子を有して当院の胸痛ユニットを受診した。症状の新規発現、トロポニン値および心電図が正常であることに加え、動脈性高血圧、高脂血症、肥満(BMI 35.6 kg/m2)の既往があることから、冠動脈疾患(CAD)の検査前確率は中等度と判断された。CADの評価または除外を目的として、デュアルソース光子計数検出器(PCD)CTを用い、超高解像度(UHR)モードで冠動脈CT血管造影(cCTA)を実施した。
診断
冠動脈カルシウムスコア検査では、冠動脈3領域すべてに石灰化を伴う高度の冠動脈プラーク負荷が認められた(P3、石灰化体積795 mm3、Agatstonスコア993)。cCTA画像で左前下行枝(LAD)にCAD-RADS 3(中等度狭窄、50%~69%)の病変が認められ、臨床所見も踏まえて、冠動脈造影(ICA)、冠血流予備量比(FFR)および光干渉断層法(OCT)を実施した。LADの病変は、侵襲的FFRでは血行動態上の有意性を示さなかった。この病変のほか、冠動脈にびまん性硬化がみられたが、ほかに有意な狭窄はなかった。興味深いことに、UHR再構成画像(0.2 mm、カーネルBv64)では、右冠動脈(RCA)遠位部の第3セグメントにある石灰化プラークの表面に線維性被膜が描出され、最小内腔面積は2.2 mm2であった。同じ検査の標準解像度再構成画像(0.6 mm、カーネルBv40)ではこの所見は描出されず、最小内腔面積は1.6 mm2であった。OCTでは、石灰化の下に線維性被膜を伴う線維脂肪性病変が確認され、最小内腔面積は2.3 mm2で、UHR再構成画像とよく一致していた。血管造影所見を受け、二次予防としてスタチンによる強化薬物療法を開始した。
図1:標準解像度で再構成した画像(Bv40、0.6 mm)(図1a)では、RCA遠位部の第3セグメントに石灰化プラークのみが認められる。UHR画像(Bv64、0.2 mm)(図1b)では、カルシウムブルーミングの低減により、石灰化プラークの下に線維性被膜が描出されている。同じプラークのOCT画像(図1c)との比較により、プラークの組成が確認された。
解説
CADは、西洋諸国における罹患および死亡の主な原因である。cCTAは、優れた感度と陰性的中率を備えているため、安定狭心症およびCAD疑いの患者の精査で、臨床的に最も広く用いられる診断法の一つとなっている。しかし、従来のcCTA検査では特異度と陽性的中率が中等度にとどまる。これは主にカルシウムブルーミングによるものである。石灰化プラークや金属物質などの高密度構造物が、実際より大きく見えるアーチファクトである。カルシウムブルーミングは狭窄度の評価に影響するだけでなく、正確なプラーク性状評価も妨げる。そのため、空間分解能の限界やブルーミングアーチファクトにより、線維脂肪性病変や線維性被膜などの小さいながらも重要なプラーク成分が、従来のcCTA検査では認識できないことがある。本症例報告で示すように、UHR PCD-cCTAは空間分解能を向上させ、こうした限界を克服する有望な技術となる可能性がある。線維性被膜を伴う線維脂肪性病変は、真の基準となる侵襲的OCTで確認された。侵襲的冠動脈造影と機能検査では血流を制限する病変が認められなかった一方、Agatstonスコアが高値(993)で、血中コレステロール値も高かった(248 mg/dL)ため、患者にはスタチンによる強化薬物療法を開始した。
検査プロトコル
スキャナー | NAEOTOM Alpha |
|---|
撮影範囲 | 心臓 |
撮影モード | 後ろ向き心電図同期
スパイラルモード Quantum HD |
撮影長 | 150 mm |
撮影方向 | 頭尾方向 |
撮影時間 | 7 s |
管電圧 | 120 kV |
実効mAs | 54 mAs |
線量変調 | CARE Dose4D |
CTDIvol | 8.8 mGy |
DLP | 113 mGy*cm |
回転時間 | 0.25 s |
ピッチ | 1.0 |
スライスコリメーション | 120 x 0.2 mm |
スライス幅 | 0.2 mm |
再構成間隔 | 0.2 mm |
再構成カーネル | Bv64, QIR 4 |
心拍数 | 65 bpm |
造影剤 | 370 mg/mL |
容量 | 70 mL + 20 mL 生理食塩水 |
注入速度 | 5 mL/s |
開始遅延 | テストボーラス + 5 s |
画像提供:ドイツ、マインツ、ヨハネス・グーテンベルク大学医療センター、画像診断・インターベンショナル放射線科